リアル脱出ゲーム

第2話:手枷からの脱出

Escape Gameの始まりです。

こうして、リアル脱出ゲームが始まった。

誘拐犯は手錠の鍵を持って逃げていってしまいました。しかし、予備の鍵が金庫にしまってあります。金庫の暗証番号を当てて、手錠から脱出しよう。

なるほど、まずはこの手錠をはずすのか。

暗証番号は犯人の誕生日です。犯人は、去る前に「俺の誕生日、お前と通じるものを感じるな。あぁ、昔の話をしてしまったな。」と漏らしていました。次の画面で暗証番号を入力してください。ただし、3回間違えると犯人に警報が通知されます。

暗証番号を入力する画面になった。(えっと、私と関係のある数字?私と同じ誕生日かな?)と心の中で思い、入力をしてみようと、アプリに入力しようとしたときに、私は指示に従わなかった罰の恐ろしさを実感した。そう、手にはめたサテングローブのせいで暗証番号を入力できないのだ。(こうなったら足を使うしか……)と思い、ハイヒールを脱ごうとしたが、後ろ手に手錠をかけられているため、ストラップ付きのハイヒールを脱ぐことができない。ストラップも立派な拘束具になってしまっているのだ。

(このままだと暗証番号を入力すらできないわ。どうにかして入力する方法を探さないと…!そうだ鼻を使えば!!)と思い、鼻を使おうとしたが今度はマスクがこれを阻む。マスクをずらそうとするが、全く動かない。装着するときに急いでいて気に留めなかったが、今思うとストラップがかなりきつめだ。マスクでさえも拘束具になってしまっているのだ。それでもマスクがずれることに望みをかけて必死で壁にこすりつけていると、アプリに別のメッセージが表示された。

リタイアしますか?リタイアする場合はスマートフォンを持って振ってください。

一瞬リタイアを考えたが、これまで脱出ゲームをクリアしてきたプライドがそれを許さなかった。この表示のあと、アプリはまた暗証番号の入力画面に戻った。30分ほどだろうか、壁にこすりつけたマスクがついにずれて、鼻があらわになった。(これで暗証番号が入力できる!暗証番号は私の誕生日なら……)と考え、私の誕生日を鼻で必死に入力した。が、入力後に表示されたのは

暗証番号が違います。あと2回間違えると警報が通知されます。

(え、違うの?でも、確かに私の誕生日だと簡単すぎるか。)と思いながら、他の数字を思い巡らす。(私と通じる数字、なんだろう?身長は158cmだから誕生日にはならないし。もしかして私の部屋番号の305?)と思い、試しに入力してみた。

暗証番号が違います。あと1回間違えると警報が通知されます。

(やっぱり違うよねぇ。ってかあと1回間違えると警報が通知されるって、失格ってことかな?)と思って次は慎重に考え、入力することにした。(誕生日、誕生日、あ!!)とある数字がひらめいた。(今年の連休に友達から「みどりの日」にお祝いメッセージが届いてたんだ。みどりの日は、5月4日だから暗証番号は0504だ!)と核心を持ってこの数字を不格好ながら鼻で入力した。

暗証番号が違います。警報が通知されました。

(え、違うの??これで失格かなぁ)と思っていると、アプリの画面に

犯人が警報を受け取り、5分後に戻ってきます。5分後に家にいると失格になります。失格にならないためには、5分以内にスマートフォンを持って家を出てください。

(手錠のまま外に出たらさすがに不審者だよね……)と考え失格でも仕方がないか、と思っていると、ふと頭に(「昔の話」って書いてあったけれどもしかして……)と頭に1つの数字が思い浮かんだ。そこでアプリの暗証番号入力画面に入力してみると、なんと、手錠のロックが外れたのだ。そう、みどりの日、というところまでは合っていたが、昔のみどりの日、4月29日のことだったのだ。

手錠が外れたことで、サテングローブも外せるし、マスクも元に戻せば口枷も目立たない。そう思って、脱出ゲームマニアの性なのか、いつの間にか家の外に出てこの脱出ゲームを成功させよう、という考えになっていた。